斎藤英子

【略歴・土日画廊コメント】
1980 女子美術短期大学専攻科造形専攻生活デザイン修了
個展
1998 ∞・時空・よくばりアンテナピッピー(小野画廊・東京)
1999 Blue Moon-vol.2(ギャラリー21+葉ANNEX・東京)
2005 ギャラリー21+葉(東京)
2006 トキ・アートスペース(東京)
2007 ギャラリーなつかb.p(東京)
2008 ギャラリー21+葉(東京)
2009 ギャラリーなつか(東京)
2010.03 ギャラリーなつかcross(東京)
2010.07 ギャラリーなつか(東京)
2011 徳島県神山町 旧梅里/
空家地面に散った椿の花びらが徐々に薄茶色に変色し始める様を、斎藤さんは美しく感じ好きだという。その言葉を聞く度に、人も動物も、虫も植物も、生まれて生きて、死を迎え、大地に帰って行く、「生命の時間」を愛でる象徴的な言葉として私は捉えています。今回の個展ではその椿をモチーフにしたオブジェを画廊空間の中に散りばめます。アクリル板や塩ビに絵具と指で描画した作品を床や空中に演出。光や影が空間をより密度の濃い物にしてくれるでしょう。斎藤さんの美術活動の原点は子供のころから今も暮らし続けている武蔵野の風景。畑や樹木が太陽に照らされ、刻々と移り行く光や色彩の変化を観詰め続けててきたこと。そして泥んこ遊び。その延長線上に陶芸がある。陶芸の制作については詳細は聴いていないが、土を捏ねくるという行為は、今回のアクリル板に描く場合にも適応され、あくまでも素手で感じることを大切にしているという。昨年の秋、斎藤さんが人の紹介で土日画廊に来廊され、自然光の入る画廊を探していてこんなことをやりたいと、その思いを切々と語られ、作品ファイルを見せてもらったのが出会いでした。作品は針金、ビーズ、梱包資材、和紙、布・・・など、日常目にする身近な物を使って造ったオブジェを天井から吊るしたり床に置いたりした、光や影自体も含めた空間全体が作品といえるものでした。写真から想起したのは、空気 水 雲 雨 ヒカリ光線 時間 刻々と移り行く物 と 透き通った空気感。全てが、斎藤さんの子供時代から大人への成長過程で感受、体感されたことの表出なのでしょう。画廊という閉塞された空間の中に、既に消えてしまったり、今も進行する美しい風景の喪失を、なんとか取り戻そうとするかのような、斎藤さんの切なる願いでもあると感じました。昨年起こった数々の悲劇は斎藤さんの心も深く痛めつけました。今回の制作が、地球の活動という、計り知れない自然界の巨大なエネルギーへの畏怖を抱きつつ、失われた多くの命に対する鎮魂の気持と重なります。
土日画廊 板橋
【土日画廊での過去の展覧会】
斎藤英子 展
2012年4月5日(木)~4月22日(日)
open 木曜日~日曜日 12:00~19:00
椿を描いたアクリル板や塩ビのオブジェが空間に舞っています。内も外も春爛漫です。