スサイタカコ

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スサイタカコ展「Shedding Children〈脱皮するこどもたち〉」
2016年4月28日(木)〜5月15日(日)
スサイタカコ  略歴
1997年 美學校・造形基礎卒。
絵や壁画を描いたり、布、革、端切れなどを収集し、立体作品を制作。美術館、駅、廃校、ギャラリー、商業施設など、さまざまな場所にてココロ踊る、独特な味わい深い、唯一無二の世界を産みだしている。観客と一緒にオモチャやニンギョウをつくったり、絵を描くワークショップ多数開催。旅芸人のように国内外各地で活動中。
個展・グループ展に多数開催、参加しているため下記は主な展を抜粋しました。
◉2005年
個展「月夜のスカートめくり」(OPA gallery / 東京)
◉2006年
SICF(青山スパイラル・東京)
◉2007年
個展「アリクイ舌ベロの妄想」(OPA gallery / 東京)
◉2008年
赤坂アートフラワー (旧赤坂小学校)
◉2009年
個展「満ちるひだまり」(土日画廊・東京)
◉2010年
台湾SOGO全館クリスマスウインドウディスプレィ(台湾)
◉2011年
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2011(六甲山・兵庫)
個展「パラレルワールド 光ノ音ト旅ヲスル」(アートスペース油亀・岡山)
◉2012年
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012(六甲山・兵庫)
みんなでつながるゆかいな虹 パルテノン多摩25周年記念イベント(パルテノン多摩)
個展「タダイマ ノ キオク ムキダシ ノ ニチジョウ」(土日画廊)
◉2013年
個展「ルールー 天井にクモがいるね」(OPA shop・東京)
個展「Poetic eerie」(川越市立美術館)
テクテクめぐる縁がわアートin南三陸(宮城)
モケモヶコタツビヨリ(日和アートセンター・宮城)
ウョウョメガネで世界をみよう ワークショップ(彫刻の森美術館・神奈川)
◉2014年
個展「teとte」(OPA shop・東京)
チクチクヌィヌィ ヘンテコアソビバつくろうワークショップ(鴨江アートセンター・静岡)
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014(六甲山・兵庫)
テクテクめぐる縁がわアートin南三陸(宮城)
個展「ポンポコピーピーどこいくの クリスマスってなにそれたべもの??」(アートスペース油亀・岡山)
◉2015年
個展「ポピポピたちがやってきたょ」(OPA shop・東京)
アートの畑@ISETAN(伊勢丹新宿店)
◉2016年
Giant Mango Selection vol.2@Wrong (wrong gallery・台湾)
個展「ニョキニョキヒョッコリはじまるょ」(OPA shop・東京)
としまミュージアム(豊島区旧庁舎・東京)
個展「Shedding Children〈脱皮するこどもたち〉」(土日画廊)
愛おしき生命体、その形や豊かな色彩から醸す雰囲気が菌類がはびこるるように、あるいはアメーバーが細胞分裂して陣地を拡げるように、観る人のこころを占領して行くニンギョウたち。独特な形のなかに穏やかで何気なく愛嬌をふりまくスサイタカコの作品を前にして微笑み嬉々としている多くの人々を見かけてきました。男子も女子も、子供も大人も、無論このメモを書いている自分もその一人です。
天井からつり下げられたカラフルで奇妙奇天烈な作品群は、画廊の個展会場ばかりではなく公共の場、廃校になった学校の体育館、美術館、町起こしのための古民家、東北でおばあさんが暮らす農家のひだまりの縁側、デパートや商店の一隅などなど、開かれた空間で時には風に揺れ、時に子供たちの小さな掌でなでられてきました。
作品は絵画や立体作品が中心です。特にニンギョウの制作は絵画、立体、版画、手芸、刺繍、テキスタイルなどジャンルを超えたところで、スサイタカコの全身の感覚、技術が総動員されています。素材は布や皮、ビニール、紙、皮など、どんな素材の端切れでも、例えば使用済みの短い糸の一本も保管し作品に生かしたり、布の柄は自分で描画したりシルクスクリーンでプリントをしたりもします。
スサイタカコは「美学校」(神保町)で短期間学んだ後、制作に必要な版画技法以外はほとんど独学で制作してきました。幼少期から始まった「お絵描き」で楽しい色彩の感覚を養い、子供のころに祖母から学んだ針や糸を使う「お遊び」で気持ちの良い布を体感して夢やお話の世界を膨らませていました。この豊かな色感と独特な形態の感覚に加えてユニークな作品のネーミング、「トムトムムーチョ」とか「モミモミテヒョロン」とか、なんだか表音文字で煙に巻かれるような名前を付され、作品は一層神秘的空気が醸されてまるで宇宙からでもやって来た未知の生命体をも想像させます。
形を造る時は手を自由に動かすというやり方でなるべく頭で考えることはしないそうです。
人には癖というものがあり、同じような動作をしていれば自ずと動きが定まってくるのだろうと思います。スサイタカコのそれぞれの作品も似通った空気があり、形の癖と言えない事もないのですが、「癖」といってしまうにはそれぞれがあまりにも自由奔放で気分が開放される感じです。
今回のサブタイトル「shedding children」(脱皮するこどもたち)は、自分の幼少期から今までの体験を現実として受け止め肯定することで今ある自分の新たなる出発にしよう、という自身の内的体験を踏まえたものです。
どんな人にもそれぞれの事情を抱え生活しています。生きることは喜びばかりではなく時に失敗したことや反省、自分をだましだまししてきたりと、内なる葛藤を抱えている現実もあります。大人になりそんな感情がふっと頭をもたげて気持ちを落ち込ませる要因にもなったりします。
そんな人間の心の世界をよそにニンギョウたちは飄々として在り、それを観る私たちにあるがままのあなたでいいんじゃないの、もっと肩の力を抜こうよと言ってくれているような気がします。
そしてそれは真にスサイタカコがニンギョウの姿を借りて伝えたいメッセージでもあるのです。
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個展
「タダイマノキオク
ムキダシノニチジョウ」
2012年2月16日
〜3月4日